風よ、雷よ。

日記 12月1日(火)

急斜面の小高い丘を登って行くと
関ヶ原のような大地が広がっている。

目の前には数千、いや数万の敵陣が
ひしめき合いながら
こちらをじっと見ている。

こちらは一人立つ。

ひるむことなく
むしろ、
この時を待っていたと謂わんばかりに
進む、進む。


真剣な眼差しなれど
口元はうっすらと笑みを浮かべ
威風堂々と
進む、進む。


力では到底勝てるはずもない。

よって、
力以外の方法で戦うしかない。

こちらには
決して揺るぐことのない信念と
蓄えてきた知恵を総動員させている。
恐れるものは何もない。


さあ、申してみるがいい。

されど、敵陣は無言のままである。

静寂の時がながれる。




深呼吸をする。



目をとじて拳を握りしめると

地鳴りが響きわたり大地が揺れる。


合図の風が頬をなでる。




今だ!!






風神よ、雷神よ。

と、心の中で叫ぶ。






そして

次の瞬間、


地響きも

強風の音も

雷の音さえ遮るほどの

大声で宝の言葉を

全身全霊で叫んだ!








飛び起きた。

自分の寝言があまりにも大声で

びっくりし過ぎて飛び起きた。

一瞬、夢か現実か区別がつかず。

しかし、

探し続けいた宝の言葉を

私は間違いなく叫んでいた。

でも、なんと叫んでいたかが

どうしても思い出せない。

そうだ、二度寝をして

夢の続きをみようとしたのだけれど、

あまりにも大声だったため

心臓がバクバクしていて眠れない。





答えは自分が知っているというのに

目覚めた自分は忘れてしまっている。






しかし。

夢の中では

戦わずして勝っていた。

もちろん負傷者ゼロである。



穏やかな夢を見るつもりだったのに

夢の中でも
宝の言葉を探して
戦っていたと思うと

なんだか苦笑いである。

そんなにも
求めていたのたのかと思い知る。

おとなしい妖怪が

やんちゃな妖怪に

そこまで追い求めているなら

好きに暴れるがいいさ、

と声をかけた。



満月を過ぎてもまだ丸い月が

進め、進めと

笑った。


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続きは夢の中で……


おやすみなさい。