一番星と月


来る日も過ぎ
過ぎる日も追いかけ

毎晩飽きることなく
夜空を見つめる男がいた

いつもじっとそこに立ったまま
彼は動かずに立ち続けていた

ある寒い夜

天頂ではペガサスが
羽を大きく広げ、

お月さまは
山のお布団で
眠りにつこうとしていた

地上では薄い紅色が広がり
お月さまは眠たげなブルーに包まれ
天空では闇色の中に煌々と一番星が輝いた



(右端がお月さま。左が一番星)
(ミカエルが見た空)



その時

「ポチャンッ。」と

何かが水面に落ちる音がした。

毎日立ち続けていた男は
慌ててボートを漕ぎだし
何かが落ちた音のほうへ進んだ

すると
水中から
「銅の剣はいりますか?」と声がした。

男は無言で首を横にふった。

「ならば、銀の剣はいりますか?」

男はまた首を横にふった。

「あなたが本当に欲しいものは、この金の剣ですか?」

男は、首を大きく横にふったあと、
悲しそうにうなだれてしまった。

戦いは、もういらないんだ

終わりが無いことを始めて
どこまでも果てしない物語の中には
いたくないんだ

本当に欲しいのは
本当に欲しいのは・・・

すると水の中から
まばゆい光を放った
先ほど、空から落ちた星の上に
男の体は乗せられて
ぐんぐん上へ上へと昇ってゆく

地上がどんどん低くなり
お月さまが山の布団で眠っている
お月さまの寝姿だって見えてしまう

さっき見たばかりの
一番星だって
足元で輝いている

まるで宇宙を旅しているみたいだ

嬉しくて楽しくて夢のようだよ

夜空に輝く星たちはハープのような音色で
ミカエルに眠りを誘います

ミカエルは、
これまで味わったことのない
心地よい眠りの中で夢も見ました


その頃、
散歩していた人が
驚いて大声で叫んだ

「ない!
消えている!
いつもここに立っている
ミカエル像が消えている!」

ミカエル像は
いつも同じ場所に立っていたので

せめて、
夜空にペガサスの羽が広がる夜に
ペガサスの羽に乗って旅をしたい

人間のようにぐっすりと眠ってみたい

戦いじゃなくて

束の間でも

喜びや

やすらぎを

感じてみたかったのです



散歩をしていた人が
大慌てで人を呼びに行っている間


ミカエルは望が叶って

満足げに

いつもの場所で

いつものように

いつものポーズで立ちました



天頂に
ペガサスが羽を広げる夜には

不思議なことが

おこるのかも知れません



―吉夜夢の妄想夜話―




(水面に落ちた一番星)



今夜も

ぐっすりと

おやすみなさい

続きは夢の中で・・・

(^―^)


― 追 記 ―


11月6日



今夜(11月6日)は、

「お月さまと金星」が並んで

山のベンチに腰かけて

仲良くおしゃべりを始めました

リゲルも綺麗に見えています☆




こんな夜には・・・

月にはしごをかけて 誰かが昇りそうです
   ↓


『月と金星のおしゃべり』
   ↓


『 Rigelさんの絵 』
   ↓


『お月さまに梯子をかけて誰かが昇る』
   ↓




朝目覚めた時に、

もしも腕が痛かったら

おそらくその人は、

夢の中で

月にはしごをかけて

昇ったのでしょう





夢の中で

行ってらっしゃい

素敵な夢を・・・

おやすみなさい

(^―^)

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