天のぼり

天のぼり(きっちょむさんと満月)

..


むかしむかし、


吉四六(きっちょむ)さん

という、

とても

ゆかいな人が

いました。


ある日のこと。


吉四六さんは 

村に、

奇妙な立て札を

立てました。



『 明日の正午、

畑にて、

吉四六が 

天昇りを

いたします 』



さあ、

それを知った

村人たちは

大騒ぎです。



「おい聞いたか? 

あの吉四六さんが、

天昇りを

するそうだぞ」




「まさか、

いくら吉四六さんでも、

天に昇ることなんか」


「いいや、

吉四六さんなら、

本当に

やりかねんぞ」




そして、

いよいよ次の日。



吉四六さんの畑に、

村中の人が

集まって来ました。



すると

そこへ現れた

吉四六さんが、

村人たちに

こう言いました。




「みなさん。

わたしもいよいよ、

天に昇ることに

なりました。


つきましては、

お願いがござります。


天へは、

このはしごを伝わって

昇りますので、

誰か下で

押さえていて下さい。


それから

わたしも最後は

賑やかに行きたいので、

他の方々は

下で

踊(おど)りながら、

『天昇りは危ないぞ』

と、

言って下さい。

それではみなさま、

どうか

おたっしゃで。」






こうして

吉四六さんは、

少しずつ

はしごを

登って行きました。



下では

村人が、

天を見上げながら、



「天昇りは、危ないぞ。

天昇りは、危ないぞ。」


と、言いながら、

畑の中を

踊りまわります。



吉四六さんは、

はしごのてっぺんから

下の様子を

見ていましたが、

やがて

どうしたわけか、

スルスルと

下りて来て、

みんなに向かって

こう言いました。




「せっかく決心して

登りましたが、

こうみんなに

『危ない、危ない』

と言われると、



やっぱり


恐ろしくなりました。



そんな訳で、


今回は


止めにします。」







「はあ? ・・・・・・」





それを聞いた

村人たちは、

しばらく

あっけにとられていましたが、


急に

馬鹿馬鹿しくなって

家に

帰って行きました。




そして

一人残された

吉四六さんは、

しめしめとばかりに

十分にならされた

畑をながめて、



「よし、

これで今年は、

畑を耕さなくても

いいな」


と、

ニッコリ笑いました。



吉四六さんは

村人たちに

踊りを踊らせて、

自分の畑を

耕したのでした。




おしまい




―きっちょむさん より―





日記☆







                  ┣┫
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きっちょむさんが天のぼりをしそうな満月の夜




見上げれば

はしごをだして

満月だ

天にのぼると

聴こえし夜中





きっちょむさーん、

今夜の満月は、

深夜3時16分らしいよ。

村人は、

みんな爆睡して

夢の中だよー。



「うーむ・・・。」


お月さん、

いつかみんなが

起きている時間に

満月になってね。


はいはい。


きっちょむさんも

あなたも

いつか

天に昇った気分に

なれるように

太陽と

相談しておくわ。



それまで

ゆっくり

ねむっておいてね。



きっちょむさんも
むらびとたちも
ぐっすりすやすや
ゆめのなか。


あなたも
てんにのぼる
きぶんになる
ゆめのなかね





おやすみなさい


(^―^)




きっちょむさんがみた満月


きっちょむさんが
つきにはねがはえ
といっていそうな夜




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