冬を唄う白鳥

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[ 歌いたい気分なんだ ]






春になれば誰もが陽気に口ずさむ

それでも私たち(白鳥)は冬を唄う



想像もできないほどの寒さを

見たことのない荘厳な自然を

私たち(白鳥)は知っている



だから私たち(白鳥)は冬を唄う







春になれば誰もが陽気に口ずさむ

それでも私たち(白鳥)は冬を唄う



冷たい大地の上でも天高く

陽気に冬を唄い

春を呼び届ける








神様は世界の始まりを白色に塗り

私たち(白鳥)の翼を作ってくれた



広い空や海の青色ではなく

綺麗な朝焼け色にでもなく

神様は世界の始まりを白色にした




なぜかって?

あなた次第でどんな色にも染められる

せめて最初は汚れのない色にしようと

そう神さまは、思ったのかも知れない










答えは神様にしかわからない

いや、本当は自分自身が知っている

だから私たち(白鳥)は冬を唄う









冬の到来を告げる冬告鳥が冬を唄い

飛び去る時には春が近いことを告げ





来るときも去るときも、陽気に唄う







春になれば誰もが陽気に口ずさむ

それでも私たち(白鳥)は冬を唄う



過酷な寒さや深い嘆きや苦しみも

すべてを飲み込んだ白い翼を広げ




あなたに届けと

わたしは陽気に

冬を唄い続ける









(白鳥が見たお月さま)


見えない時でも

お月さまは

本当はいつもまん丸で

あなたの頭上で見守り続ける




静かな夜には

冬を唄う白鳥の声が聴こえてきそうだ











あなたが見た同じ月を、私も見ていた。





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