観覧車の前で逢いましょう

観覧車の前で逢いましょう




朝8時。



女は観覧車の前で待つ。


約束の時間が過ぎても、

待ち人来たらず。



一週間前のことだった。


道に迷って

通りすがりの人に道を尋ねた。



その人は、

道を尋ねる私に驚いた表情で

「あれ?どこかで逢いましたよね?
どこですか?」と、

逆に真剣な顔つきで質問をしてきた。


あらあら、

「(ここは)どこですか?」と質問したいのは私なのに。

それでも、確かにどこかで逢った気がする。

まったく思い出せないけれど、
奇妙なことにやっと逢えたという
懐かしい気持ちになる。

本当に、
どこかで
逢ったことがある
という確信があるが、

それは、
いつ、
どこで、
だったのだろう。

急いでいた男は

「観覧車の前で8時に逢いましょう。」

と言い残して、
笑顔で立ち去った。

 夜8時。

男は観覧車の前で待つ。

約束の時間が過ぎても
待ち人来たらず。


8時とは、

女にとって朝であり、

男にとって夜である。


きまぐれな神様が再開させた二人は、

お互いの勘違いに気づかずに、

今日もまた二人は、

「それぞれの8時」に、

お互いを待ち続ける。


通りすがりの

すれ違っただけの二人が、

実は深い縁で結ばれていた

かもしれないのだが。




「それぞれの時間」は

進み方と、

とらえ方が違うために、




今日も二人はすれ違う。






『観覧車の前で逢いましょう』








続きは夢の中で・・・



おやすみなさい


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